元CAバンビのずぼら日記

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元CAが解説!泥酔からの機内迷惑行為は「酔っ払っていた」では済まされない!五輪オーストラリア代表選手も!その他よくある機内迷惑行為や防ぐ方法

皆様、こんにちは!元CAのバンビです。
連日盛り上がっていた東京オリンピックが、とうとう終わってしまいましたね。
たくさんの感動的な場面を目にした一方で、元国際線CAとしては残念なニュースもありました。 

そのニュースとは、オーストラリアのオリンピック代表選手が、帰国のJAL機内で泥酔し迷惑行為に及んだというもの。

(参考) 

騒ぎを起こしたのは、サッカーと7人制ラグビーの男子代表選手ら。選手らが搭乗した日本航空の飛行機は、2021年7月29日に羽田空港を出発し、約10時間のフライトを経て、翌30日朝に豪シドニーに到着した。

選手らは機内で、お酒を飲んで歌を歌い始め、客室乗務員がマスク着用や着席を求めても拒否した。しかも、機内に保管してあった酒類を勝手に持ち出し、乗務員らが止めても応じなかったという。また、トイレで嘔吐して床などを汚し、トイレが使えなくなったケースもあった。

泥酔しマスク拒否...豪選手団が帰国便で大騒ぎ : J-CAST ニュース

 

↓こちらの記事には「機内に保管してあった酒類を勝手に持ち出した真偽は不明」とかいてあるものの…

豪代表、帰国便で飲酒し迷惑行為 選手団団長が非難 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

 

 

 

どちらにしても、選手が数人酔っ払って騒いで、他の乗客に迷惑をかけて、さらに客室乗務員の指示にも従わなかったのは事実のようです。

 

記事にもあるように、飛行機の機内では、他の乗客に迷惑をかけるなどの行為は禁止されている上、乗客は客室乗務員の指示に従わなければなりません。

また、客室乗務員の指示に従わないで迷惑行為を続けると、場合によっては到着地の警察に引き渡され逮捕される可能性もあります。

 

「オリンピックの選手」ということで、注目されニュースになっていますが、このようなケースは実は結構起こっていて、私がCAをしていた時も何回か同様のケースに遭遇したことがあります。

今日は、良くある機内迷惑行為の状況や、なぜ飲酒によって機内迷惑行為が起こりやすいのかをCA時代の経験を交えてお伝えします。

このブログを読んでくださっている良識ある皆様は、きっと他の乗客の迷惑になるようなことはないと思いますが、迷惑を受ける側になる可能性は誰にでもあります。

迷惑行為に巻き込まれないために一般のお客様ができることも合わせて紹介しますので、飛行機に乗る際のご参考にしてくださいね。

CA時代に経験した機内迷惑行為とは?

 

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私が国際線のCAとして働いていた十数年で遭遇した機内迷惑行為は数知れず…あまり詳細はお話しできないようなものもあります。ここではお話しできる範囲で一般的な迷惑行為を紹介します。
 

泥酔して他のお客様や乗務員にからむ

一番多いのがお酒を飲みすぎて、声が大きくなって、騒がしくなる。
そして、注意しに行ったCAにからむ、周りのお客様にからむというケース。

オーストラリアの五輪選手の便も想像するに始まりはそんな感じだったと思います。

このお客様ちょっと飲みすぎてるな、と思えば、乗務員はまずはその旅客に対してお酒の提供をやめ、代わりにお水などをおすすめします。(酔いを覚ましてもらう)

そこで、お客様も気づいて自制してしてくだされば良いのですが、酔っ払っているので、素直に言うことを聞いてくださる方ばかりではありません。「うるせー」とか「酒持ってこい!」などと声を荒らげる人も居ます。

五輪選手の記事にも書いてあったように、勝手にギャレー(キッチン)に入ってきて、お酒を持ち出す人や個人で免税品で購入したお酒を開けて飲む方もいます。
(*ちなみに免税品のお酒は機内で開封して飲んではいけません)

乗務員が注意しているにも関わらず飲み続けると、いよいよお客様は泥酔してきて次の段階に進んでしまいます。

お客様が一人の場合は、勝手に寝て静かになってくれることもあるのですが、団体だとドンドン騒ぎが大きくなって、他のお客様を巻き込んでトラブルに発展しやすくなります。

 

 

 

乗務員に対して暴言、暴力、他のお客様とケンカになる

酔っ払った人(または集団)が騒がしくなると、他のお客様たちはゆっくり寛げません。快適性が損なわれるだけでなく、酔っ払った旅客が暴力を振るったり、機内の装備品などを壊したりする可能性もあり、安全性にも関わってきます。

また周囲のお客様が見かねて注意をしたことでケンカに発展することも良くあります。(どっちもお酒が入っていると収拾つかなくなるので、本当に要注意!)

CAは機内秩序を保つことも仕事の一つです。
口頭で注意をしても迷惑行為を辞めない場合は、機内で手続きを踏んで「警告書」や「命令書」などの文書でお客様に注意をすることになります。

なお、文書での注意が出たら相当なので、すぐに迷惑行為をやめてください!
「なんだ、こんな紙!」とぐちゃぐちゃにして通路に捨てた人もいましたが、法律的に効力を発揮するもので、到着地で警察に連れて行かれた事例もあります。

 

泥酔からの機内迷惑行為が多い理由

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泥酔して他人に迷惑を掛けてしまうことや時には犯罪に繋がることは、飛行機に限ったことではありませんが、こと飛行機で酔っ払いの迷惑行為が多いのには理由があります。

飛行機でどこかに行くこと自体、気分が高揚しやすいこともありますが、飛行機の気圧は地上に比べて低く、飛行機の中は普段よりも酔いやすいのです!

お酒の強い人でも、いつもと同じ調子で飲んでしまうと、酔っ払ってしまいます。(特に、お酒に強い人の方が気付かずに飲み過ぎてしまう気がします)

(参考) 

酸素濃度が薄いため地上にいるときよりも2割程度酸素の摂取量が減るからです。

諸説ありますが、機内で酔いやすいのは体内の酸素が減るため代謝が悪くなり、アルコール分解が遅れるためと、気圧が低いために末梢血管が拡張し、血液循環が促進されてアルコールがまわりやすくなるためと言われています。
なんと機内では地上の2倍程度酔いやすいという報告も。

引用:ANAホームページより

ANAのホームページにも記載されている通り、とにかく機内では普段よりも酔っ払いやすいため、泥酔状態に陥り、過ちを犯してしまう人も居るのでしょう。皆様も機内で飲み過ぎないように気を付けてください。

もし、乗務員に「少し飲みすぎのようですよ。お水を飲んでください」と言われたら(自分が思っているよりも相当)酔っ払っているということなので、指示に従いましょう〜。 

さらに下記は泥酔からの機内迷惑行為ではないですが、良くある迷惑行為(というか犯罪)の一例です。 

盗撮!ダメ!絶対ダメ!!

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盗撮はもちろん法律的にアウトです!
盗撮というのは、必ずしもスカートの中とかそういうことだけではありません。勝手に人の顔や仕事姿を撮ってはダメという意味です。

以前、私が乗務していた便でもかなり悪質な事例があったのですが、当時はまだ「盗撮」の社内での扱いが軽かったため、旅客に注意を促しただけで終わりました。

そのエリアの乗務員で会社と掛け合ったのですが、なぜかうやむやになり終わりました(泣)

ただ、撮影機器もSNSも発達し悪質な事例が多発したためか、今では出発前には「無断の撮影はお控えください」などの案内がスクリーンに映し出されるようになりました!
(ので、数年前に私たちが会社と掛け合ったのも無駄ではなかったのかも)

盗撮はダメだけど、どうしても記念にCAさんと写真を撮りたい♡などの場合は、直接CAさんに相談してみましょう。

上手な頼み方としては…まずは座席に座る自分を撮ってもらった流れで「記念に一緒に撮ってもらえますか?」などと頼まれると断りにくいと思います。(嫌だと思われてる可能性はありますけどね!) 

 

 

 

他にもある!航空法で禁止されている迷惑行為(安全阻害行為)とは?

 

このポスターを見たことありませんか?
(国土交通省ホームページより引用)

法律で決められている機内迷惑行為


1)化粧室内で喫煙をすること

2)携帯電話などの電子機器を使用すること

3)乗務員の業務を妨げること

4)指示に従わず座席ベルトを着用しないこと

5)離着陸時に座席に背やテーブルなどを所定の位置に戻さないこと

6)手荷物を脱出の妨げとなる場所に放置すること

7)非常機器をみだりに使用すること

8)乗降口の扉などをみだりに操作すること

 

上記の8項目は航空法第73条の3と第150条で決められていて、守らない場合には、機長が旅客に対して「禁止命令」を行うことができます。

化粧室での喫煙や、非常機器や乗降口を勝手に操作したらダメというのは、言われなくてもわかると思うのですが、結構ありがちなのがこちら↓↓

 

手荷物を脱出の妨げになる場所に放置すること

お客様が手荷物をドアの前や通路に置いたりすることも禁止されています。非常の際に荷物が通路に散乱し、多くのお客様の脱出に支障がでてしまうからです。

ただ、いつぞやの「銀座ママバーキン事件」など、乗務員がお客様の手荷物を注意したことによりトラブルに発展するケースは非常に多いです。

飛行機は電車やバスと同じように公共の交通機関ですので、乗務員は乗客に危険が及ぶようなことは防がなければなりません。

手荷物の大きさや形状、硬さなど、その時の現場のCAの判断によるところも大きく、「緊急脱出の妨げになりますので」などと言われた際には、素直に乗務員の指示に従いましょう。


(参考)銀座ママバーキン事件とは?


一応、知らない人のために、銀座ママバーキン事件を簡単に。

国内線を利用した、ある有名銀座ママが、膝の上に置いていたエルメスのバーキン(バッグ)をCAから「床の上に置け」と注意されたことを、CAの顔写真や名前などと共にSNSに投稿して炎上した事件。

私の見解:その場に居なかったので詳細は分かりませんが、知っている情報から判断すると「床の上に置け」と本当に言ったのならCAの言い方は良くなかったかもしれません。しかし、現場のCAが安全ではないと判断したのなら、お客様は手荷物を所定の場所に収納しなければなりません。
また、CAの写真を勝手に撮影して名前などをSNSに投稿することは盗撮やプライバシーの侵害など別の犯罪要素が含まれる可能性がありますね。
(なお、投稿自体はすぐに削除されたようです)

 

非常機器をみだりに使用すること

ポスターでは、ライフベストを旅客が勝手に着ているイラストですが「そんなことあるの?」と不思議に思うかもしれませんが、本当にあるのです。

毎回、忘れ物のチェックと一緒にライフベストのチェックも行いますが、たまに持ち出されていることがあったり。その昔は、ワイキキビーチで非常用の救命胴衣を着けている人がいたという噂も聞いたことがあります。

もちろん、航空法でも厳しく決められていますし、勝手に取り外して持っていくのは犯罪ですのでお辞めください。

 

乗務員の業務を妨げるとは?

ここまで読んで、そう言えば前項からの「お酒を飲んで騒ぐこと」は1)~8)に当てはまらないのでは?と思う方もいらっしゃるかと思います。

が、お酒を飲んで騒いで他のお客様に迷惑をかけて、そのせいで乗務員の本来の業務に支障があるような場合は、3)乗務員の業務を妨げることに該当する場合があり、機長の判断で禁止命令が出される可能性もあります。

さらに言うと、お酒を飲んでなくても、強いクレームなどで、ずーーーーーっと乗務員を拘束して文句を言い続ける人がたまに居ますが、度を越すと3)乗務員の業務を妨げることに当てはまりますので、そちらもご承知おきくださいませ。

 

機内迷惑行為に巻き込まれないために一般の方ができること

 

まずは、自分も飲み過ぎないこと

酔っ払って迷惑行為をしている方は、誰彼構わず絡んで他の乗客の方とトラブルになることも多いです。
何か迷惑なことをされたり、うるさくされたり、ケンカを売られても、絶対に挑発に乗らずに、まずは客室乗務員に何が起こったか、何をされたかを詳しく説明しましょう。

酔っ払っているとついつい挑発に乗ってしまったり、実は迷惑を掛けられ注意をした側だったのに、最終的に暴力を振るってしまい警察に引き渡されたりする事例もあります。

機内は酔いやすいことは先述した通りです。まずは自分が冷静に対処できるように飲みすぎないことが大切です。

 

トラブルの芽を摘む

 

酔っ払ってうるさくしている乗客がいても、乗務員が気付いてない場合もあります。
そんな時は、ご自身で注意せず、乗務員にさりげなく伝えて乗務員側で対応してもらいましょう。

酔っ払いだけではなく、何か他の旅客に嫌がらせを受けたりした場合も、同様に乗務員に知らせてください。

隣の人から嫌がらせを受けて目の前で言いにくい時は、席を立ってトイレに行くふりをして、乗務員に言ってください。
(隣の席の人に痴漢をされたという旅客のケースも聞いた事があります)

 

座席の背、リクライニングのトラブルも多発!

 

良くお客様同士のトラブルになるのが座席のリクライニング関連です。

急に倒した、何も言わずに倒した、後ろの子供が背もたれを蹴ってくる、後ろの人がテーブルを使ってPCで打ち込んでいるのがうるさい…などなど、座席の背に関しては、普段からクレームやトラブル多発です。

前の人が何も言わずに勢いよく座席の背を倒したので、後ろの人のジュースがこぼれて、下に置いてあったブランドのカバン(バーキン)に掛かってシミになったからどうしてくれるんだ!って言うのもありました。(別のバーキン事件)

座席を倒す時は後ろの人の様子を少し観察すると良いですよ。なお、後ろの人がホリエモンの場合は、座席を倒して良いかどうかを聞いてはいけません。

 

 

 

飛行機は共有の生活スペース、ある程度は許容することも大切

 

前述したような他のお客様の迷惑になる泥酔や、業務上支障があるような迷惑行為は言語道断ですが、少し考え方を変えるだけで防げるトラブルもあるように思います。

飛行機の中は、見ず知らずの人と数時間の間、衣食住を共にする通常ではありえないシチュエーションです。さらに、空間が狭いのでストレスも溜まりがちです。

些細なことに腹を立ててしまったり、気付かないうちに自分の行動が原因でトラブルになってしまうこともあります。

自分自身がまずイライラしないために、ある程度は仕方ないと割り切ることも大切です。耳栓やアイマスクなどを使って、物理的に他人との接点を断つこともできます。

特に国際線では、様々な国民性の生活習慣がまったく違う人々が同じ空間を共有することになります。「あちらの国の方たちは陽気だな」と思えるくらいの余裕があるといいですね。

 

国民性の違い?!


下記はYouTubeの機内映像なのですが、ライオンキングのミュージカルの演者さんたちが機内で大合唱をしているところ。

最初は合唱している女性が自分のスマホで撮っているところを、途中からCAがスマホを引き継いで合唱が終わるまで撮影しています。

最初は不思議そうに見ていた他の乗客たちも、最後には拍手喝采で盛り上がっています。

とても好きな映像で、この便の乗客や乗務員たちはラッキーだったなと思う反面、

これが万が一日本の航空会社の機内で起こったら…と考えると、やはりゾッとしてしまいます。(これが日本便だったら大クレームになる可能性大!)


 

最後に〜酔っ払いの迷惑行為の処遇は?


国際線のCAとして働いていた経験から飛行機で起こる迷惑行為について解説してきました。

国際線の飛行時間は長いので酔っ払って迷惑行為をした人が、一度寝て再び起きる場面にも何回も遭遇しています。

大抵の方は「酔ってしたこと。そんなつもりじゃなかった」と平謝りするのですが…暴言や暴力を行った事実は消えません。

起きてからどんなに紳士的な対応をしても、警察に引き渡されて事情聴取を受け、場合によっては逮捕される可能性もあります。

また、警察案件になる場合は、周囲のお客様に証人になってもらったり、証言をして頂いたりとご協力をお願いする場合があります。